top of page
検索

テロと紛争をなくす。夢はノーベル平和賞!(山崎 琢磨さん) / ONLINE TALK Accept 第2回

  • 執筆者の写真: Makoto Urano
    Makoto Urano
  • 2020年10月19日
  • 読了時間: 7分

更新日:2021年2月18日


オンライントークアクセプト。第2回のゲストは、山崎 琢磨 さん。

アフリカでの活動の様子をじっくりお伺いしました。


■山崎琢磨さん 

1997年生まれ。慶應大学法学部政治学科アフリカ地域研究会所属。NPO法人アクセプト・インターナショナルで4年間にわたりケニア事業部の活動に従事。大学に通いながら長期休暇にはケニアに渡航し、2019年は1年間休学をして現地に駐在。これまでソマリアギャングの社会復帰支援事業を主導するなかで、フットボールチーム設立やスマートフォン修理スキルを用いた収入創出事業の立ち上げを行う。現在はケニア事業のサポートをしながら日本で広報を担当。

 
ソマリアでの活動

「アフリカの角」ともいわれ、動植物や海岸線など美しい自然に恵まれた国ですが、9.11で有名なテロ組織、アルカイダの子分にあたるアルシャバーブの存在が、脅威となっています。

国内では中央政府の力が及ばず様々な勢力が乱立しているなか、首都のモガディシュを含むひときわ広大な範囲を支配しているのがアルシャバーブ。

ここはその危険性や天然資源の乏しさから、国際社会も手を差し伸べておらず、いわば「置き去り」になっており、我々が支援するしかありません。ソマリアの人々はソマリ語で話しているため、現地NGOや通訳の方々と連携しながら活動しています。


ケニアでの活動

もう一つの活動拠点のケニアでは、そんなソマリアから逃れてきた多くの難民が流入し、治安や貧困の問題が深刻化しています。

ギャングと聞いて、皆さんはどんなイメージを持つでしょうか?

「怖い」、「自分とはちっとも関係ない」

そんなイメージしか浮かばない彼らも実は我々と同世代の若者で、生まれつき極悪なギャングだったわけではありません。難民として、ソマリ人として差別され、自分を見出せなくなり、ひょんなことからギャング組織に加入してしまうのです。窃盗や違法薬物などに手を染め、さらに周りの社会から浮いた存在となってしまいます。

山崎さんも同じ若者として、彼らと対話するために一緒にソマリア飯(バナナ&ライス)を食べたり、なまった英語を聞き取るため必死に勉強したりと、努力を重ねたようです。

そんな中、プロジェクトを成功に導く思わぬきっかけとなったのが共通の敵の存在でした。腐敗したケニア警察は、 賄賂を得るために訳もなく逮捕や恐喝をしてきます。なんと、山崎さんもただ道歩いてただけで逮捕されたそうです。

1万円(現地の月収相当)を支払い無事に開放されたといいますが、信じられないお話ですね。ケニア警察への反感を共有しギャングたちと意気投合した山崎さんは、「未来を変えるのは若者だ!」と声掛けし、日本人の若者という立場を生かして彼らの心に入り込むことができました。

アクセプト・インターナショナルではこのように地道な対話を通して、「加害者」と言われる存在を支援しています。


解散式のドキュメンタリー映像

今回のイベントでは、ギャングたちを社会に送り出す「門出」としての解散式の未公開映像を特別に見せていただきました。そこには、自分がこれまでやってきた悪事を書き出し、ドラム缶の火で焚きあげている元ギャングたちの姿がありました。

彼らは地元コミュニティの壁に、

「カリフマッシブは終わった、俺たちは若者リーダーだ」

とペイントすることで、ユースリーダーとして新たな道を進むことを誓いました。

「ギャングが解散したとしても、それが終わりではない」

とギャングの元リーダーが語るように、これは彼らの心の中にピリオドを打つと同時に新たな決意をすることにもなったようです。


社会復帰への道のりは生半可なものではありません。

「これさえすれば人生楽勝だよ」

と若者をそそのかすテロ集団に一時は屈してしまった彼らに、

「人生はそんなに甘くない」

としっかり伝える、彼ら自身の努力も促すことが大切と山崎さんは語ります。

時には脅されるほどぶつかり合うこともあったようですが、真正面から対話するその姿勢が、社会に復帰できた彼らが再びギャングに逆戻りしたり生活に苦しんだりしないためのキーポイントになっているようです。


ゲストトーク(Q&Aより)
  • アクセプトを知ったきっかけは?

大学入学1週間の時にひき逃げ事故に遭い、自分の人生の時間を有意義に使おうと決意していたころ、高校の同級生のつてで代表理事の永井さんと知り合いました。興味深い活動をしていることに加え、永井さんが同郷だったこともあり、前身団体の運営に関わることになりました。


  • はじめてアフリカに行ったのはいつですか?

2017年3月、アクセプトの活動の一環としてケニアのナイロビに行き、ギャングの居場所をつくるためにフットボールチームを結成しました。

訛りのきつい英語を聞き取るためボイスレコーダーで何度も聞き直すなどの努力を重ね、なんとかプロジェクトを成功させることができました。

Airbnbで滞在した1ヶ月間を通して、心の底から湧き上ってくる熱量、ナイロビの風、ラジオから流れるエドシーランの音楽、全てにアフリカの魅力を感じ、アクセプトの活動にのめり込んで行きました。


  • ギャングはどんな人たちなのですか?

ほぼ男性で、少年も14歳までいます。

彼らは主に薬物、強盗の2つを働いており、地元住民に煙たがられています。特にソマリアからやってきた難民たちはケニア人と顔の特徴が違うために、あからさまな差別を受けています。


  • ギャングたちはテロ行為について、善悪をどう考えているのでしょうか?

「テロは良くない」と口では言いますが、本心ではどうかわかりません。

そのため、プロジェクト中にはそういった話を避け、彼らとの関係構築に注力しています。彼らはイスラム教の信仰心がかなり強い一方で、案外普通にお酒を飲んでしまう人もいます。生きているうちは好きなようにして、最後は神の判断に任せるという考え方の人もいるようです。


  • 自身の仕事内容について教えてください。

以前は、ケニア事業部長でしたが今春から広報ファンドレイジング局へ異動してきました。ケニアへの思い入れもありはじめは断りましたが(笑)、

「誰にも出来ていないなら、俺が!」

という団体の哲学もあり、自分の使命を見出すことが出来ました。


  • 代表理事の永井さんはどんな方ですか?

カリスマ性があり、体育会系、仕事をバリバリこなす人です。

特に紛争解決の専門性、関係各所との調整力など凄い人なので、尊敬しています。


  • 事務局長の秋葉さんはどんな方ですか?

もともとJICAに務めていましたが、政治的な事情から活動が縛られることも多く、現場に行きたい!ということで、アクセプトにやってきました。献身的でやわらかいな印象の女性で、永井さんとのバランスがとても良いです。女性としての親しみやすさを活かしてみんなと仲良くなれるので、ギャングの人たちの中にも自然に入っていくことができます。


  • ケニアで危険な目にはあいましたか?

ナイロビに滞在中一度テロが起きました。日本企業もいるような地域が襲われ、非常に警戒しました。本物のギャングを逆上させてしまい喧嘩になり、毎日電話で脅されたこともありました。相手は武器を持っていることもあり、精神的にも苦しい経験をしました。


  • アフリカへの特別な思い入れはありますか?

大学ではアフリカゼミに所属し、様々な国をについて学びました。「アフリカ」と一括りにされがちですが、54か国に様々な特徴があります。紛争に関しては、注目度の高い中東よりも援が少なく増加率も高いため、実際のニーズは非常に高いです。特にソマリアに関しては日本政府も「危険」「行くな」と言っていますから活動しづらさはあります。


  • アクセプトの活動に対する思いを聞かせてください。

テロや紛争という「共感」が得られにくい分野ではありますが、だからこそ、変化を起こさなければならないという事実に目を向けて活動しています。


  • 今後のキャリアはどのように描いていますか?

大学院進学を考えていますが、専門分野を迷っています。現実問題として紛争解決の修士号は役に立たないともいわれており、同じ紛争解決のためであっても犯罪心理学や軍事など、様々なアプローチが考えられます。


  • ずばり、「夢」を教えてください。

「ノーベル平和賞」です。アクセプトはそのくらいのポテンシャルある活動をしている自信がありま

す!皆さんのご支援が非常に後押しになっています。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。



寄稿

小島開陸(NPOアクセプト・インターナショナル 広報・ファンドレイジング局 / 東京外国語大学)



 
 
 

Comentarios


  • Facebook
  • Instagram

© URL since2016

bottom of page